外因系血液凝固反応の分子機構

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外因系血液凝固反応の分子機構

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Molecular Mechanism of Extrinsic Blood Coagulation Pathway
責任表示:
岩永 貞昭(九州大学・理学部・教授)
IWANAGA Sadaaki(九州大学・理学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1991-1993
概要(最新報告):
(1)VII因子に含まれる組織因子結合部位の解析 外因系凝固反応の開始反応を司るVIIa因子(VIIa)と組織因子(TF)との分子間相互作用について解析を行い、TFによるVIIaの活性増強効果のメカニズムを検討した。その結果、VIIa上に独立した2つのTF結合部位を見い出した。一つはVIIaのL鎖の一部であるGlaドメインからEGF様ドメインの領域に存在し、両ドメインを含む85残基のペプチド断片がTFに対して強い親和性を示した。この結合部位はGlaドメインとEGF様第一ドメインの間のhinge領域が切断されると消失した。もう一つのTF結合部位は、TFによるVIIaの活性増強効果に関連したもので、その部位は活性型VIIaにのみ特異的に存在し、前駆体VIIには存在しないことが明らかになった。さらに、この部位の発現には、VIIa-H鎖のNH_2末端Ile153のα-アミノ基と分子内部のAsp343との間のsalt bridge形成が必要と推定された。また、VIIa中のIle153-Asp343間のsalt bridgeは不安定であるが、VIIaがTFと複合体を形成するとsalt bridgeが誘導されると考えられた。これらの結果から、TFはVIIa中のIle153-Asp343間のsalt bridge形成を助けることにより、VIIaの前駆体様conformationから活性型conformationへの変換を促進し、その結果としてVIIaのプロテアーゼ活性を増強すると推定した。 (2)組織因子に含まれるVII因子結合部位の解析 外傷などに伴って組織因子が血液中に露呈されると、この因子が血漿中のVIIa因子と分子複合体を形成しつつ、外因系凝固反応を開始する。我々は両因子間の相互作用を分子レベルで明らかにする目的で、VIIa因子上の組織因子結合部位の解析を行ない、2つの組織因子結合部位を見い出した。また、酵母を用いた発現系により、ウシ可溶性リコンビナント組織因子(rsTF,TF1-213)の大量調製に成功した。本年度は、このrsTFを用い、組織因子側のVIIa因子結合部位の解析を行なった。まず、VIIa-rsTF複合体による合成基質(S-2288)水解系に、ペプチドクロロメチルケトン処理によって不活化したVIIa因子、Gla-domainlesVIIa因子(VIIa(GD-))及び前駆体型VII因子を加えて拮抗阻害実験を行なった結果、不活化VIIa因子とVIIa(GD-)が強い阻害(IC50=70nM)を示したのに対し、前駆体型VII因子では殆ど阻害が見られなかった(IC50>900nM)。従って、rsTFはVIIa因子上の2つの組織因子結合部位のうち活性型VIIa因子に特異的に発現しているひとつを認識することが示唆された。また、この性質を利用して不溶化rsTFカラムにより、前駆体型VII因子中のきょう雑VIIa因子を特異的に除去することに成功した。一方、rsTFを、穏和な条件下トリプシン処理すると、Arg129-Ala130間のペプチド結合が切断され、切断後も約60%の活性が残存していた。そこで、両断片の分別を試みたが、1-129と130-213の断片は5M尿素存在下、分別されたものの、コファクター活性とVIIa因子結合能は共に消失した。現在、化学修飾法などを用いてVIIa因子結合部位を解析しつつある。 (3)IX因子の活性ペプチド(AP)中に発見したオリゴ糖鎖 我々は、血液凝固因子のFactor IX,Factor VII,Protein Zや血小板に存在する糖タンパク質のトロンボスポンジンのEGF類似ドメインに、新規のO-結合型糖鎖(Xyl-Glc-O-Ser,Xyl-Xyl-Glc-O-Ser)を見出し、すでに報告した。その後、さらにヒトFactor IXの第一EGF類似ドメインのSer-61にFucを介したオリゴ糖が結合していることを見出し、それらの構造と機能について解析してきた。最近、ヒトFactor IXのAP(残基No.146-180に相当)のアミノ酸分析を行なったところ、GlcNH_2に加えてGalNH_2が定量され、O-結合型糖鎖の存在が示唆された。APは、Factor IXを組織因子存在下、VIIa因子で活性化し、逆相HPLCにより単離した。得られたAPをN-グリコシダーゼFで処理し、Asn-結合型糖鎖を除去後、エンドペプチターゼAsp-Nで断片化し、精製したペプチドについて2-アミノピリジンを用いた糖組成分析とシアル酸(SA)の定量を行った。その結果、1molのペプチド当たり、GalNAc,Gal,SA,それぞれ1molを含む2つのペプチド(AP157-165,AP166-176)が同定された。両ペプチドのアミノ酸配列分析を行なったところ、Thr-159とThr-169に相当するPTH-アミノ酸は全く回収されなかった。従って、これら2つのThr残基にGalNAc,Gal,SAから成るトリサッカライドが結合していると推定した。なお、ヒトFactor IXのAPは、逆相HPLCにより少なくとも3種類に分別されるが、その中で、O-結合型糖鎖を含まないAPも存在することが判明した。 続きを見る
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