日本の対外投融資とタイ・マレ-シア産業金融構造ーアジア経済圏の比較実証分析ー

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日本の対外投融資とタイ・マレ-シア産業金融構造ーアジア経済圏の比較実証分析ー

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Japan's Investment and Changing Structures in Thai and Malaysian Economies : Comparative Investigation
責任表示:
宮川 謙三(九州大学・経済学部・教授)
MIYAKAWA Kenzo(九州大学・経済学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1989-1990
概要(最新報告):
20世紀の中葉まで経済発展の波から取り残されてきたアジア地域の発展途上国は、70年代以降アジアNIEsを中心に急速な経済成長を遂げてきた。80年代後半以降には、日本を中心とする直接投資に媒介されて、ASEAN諸国の工業化にも目を見張るものがある。アジアNIEsとASEAN諸国の経済発展に共通しているのは、輸入代替型経済から強大な外部市場を標的とした輸出指向型経済への移行である。輸出指向型経済は先進国の投資と技術を基盤とし、しかも国民経済の均整的発展に照応しないという意味で発展途上国の経済発展に必ずしもポジティブに作用しないのではないかと危惧されていた。いわゆる経済発展に関する従属理論にその意向が濃くある。 本研究では、[1]ASEAN諸国の内特にタイとマレ-シアに焦点を当て輸出指向型投資あるいは経済が途上国国民経済に及ぼすインパクトについて、国内産業連関効果、金融市場の発展、援助並びに物流革命と結びついた経済的インフラ形成、さらには現地企業の経営方式の変化等の諸側面から多面的に調査・研究をした。[2]その一方で、日本の投資がASEANを中心としたアジア経済圏の形成にどのような影響力をもったか、生産の国際ネットワ-ク、国際物流システム、国際金融システムについて積極的に解明した。 そこでわれわれは貴重な成果、したがって発展途上国の経済発展に関する新しい分析課題をいくつか手にすることができた。第一は、先進国企業の国際的なあるいはグロ-バルな生産・物流・金融システム(ネットワ-ク)とアジア発展途上国経済の工業化とが二律背反的なものではなく、同時並行的進行しているという事実の確認である。その原因は今後詳しく解明されなければならないが、背景には第二次大戦後発展途上国が獲得した政治的自主権(バ-ゲ-ニング・パワ-)、先進国経済の成熟(国内投資の限界)、変動相場制下における国際要素価格の急激な格差拡大等がある。 第二は、政治及び文化(宗教)構造だけでなく経済構造も大きく異なっているタイとマレ-シアが、共に輸出指向型外国投資を受け入れ、新興工業国(NIC)への道を順調に歩んでいるという事実の確認である。タイは小農経済のもとで米、タピオカ、砂糖等農産物輸出に経済的基盤をもっており、農産物の加工や極めて労働集約的な繊維産業を通して工業化を推進しようとしていた。マレ-シアはゴム、錫、パ-ム油等プランテ-ション的一次産業に特化し、ブミプトラ(現地人主義)政策を通してマレ-人による経済建設に乗りだしていた。このような異質な経済環境のもとで実験され、一定の成果をあげている輸出指向型経済について理論的、政策論的に分析する必要を痛感している。特に日本の立場からみれば、民間の投資活動エネルギ-等経済・社会的インフラに援助資金が集中的に投入された事実を見逃すわけにはいかない。 第三に、本研究では、小国モデル(タイ・マレ-シア)と対比して社会制度の異なる中国の工業化、とりわけ日本企業による輸出指向型投資に基づく近代化について研究した。ここでは、東北、上海近郷、華南における「局所」的経済発展が中国経済の近代化の推進力となる一方で、日・韓・中、日・台・香港・中という国際的な経済的紐帯が形成されつつあることが確認された。これは、タイやマレ-シアの経済発展のプロセスで、シンガポ-ル・インドネシア・マレ-シア、タイ・インドシナ半島で「局所」的国際経済圏域が形成されつつある状況と対比してたいへん興味深い。 最後に、以上のまとめでもあるが、援助と結びついた輸出指向型投資が途上国経済だけでなくアジア地域経済の発展に果たすインパクトについて分析する必要性を確認した。つまり、輸出指向型経済の導入という国民経済の不均整発展と対外市場依存のシステムがなぜ国民経済の整合的発展とアジア地域経済の相互依存構造を推進する力になるのか、この命題を「援助」と「投資」の連携効果として研究する必要がある。 続きを見る
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類似資料:

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東アジアの金融構造の進展と経済成長 by 木原, 隆司; Kihara, Takashi
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