対馬・韓国海峽における海流の構造に関する研究

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対馬・韓国海峽における海流の構造に関する研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Studies on the Structure of Currents in the Tsushima/Korea Strait
責任表示:
光易 恒(九州大学・応用力学研究所・教授)
MITSUYASU Hisashi(九州大学・応用力学研究所・教授)
光昜 恒(九州大学・応用力学研究所・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1988-1990
概要(最新報告):
1.研究の目的 対馬海峡は,日本海に暖かい黒潮系水を流入させる唯一の通路であるため,対馬海峡を通過する海流の構造を解明するこは,日本列島の気象変動のみならず日本海の漁場形成過程を知る上でも重要である。しかしながら,対馬海峡には,日韓両国の領海が存在するため,これまで海峡全域にわたる総合観測はほとんど行われていない。また,対馬海峡一帯が有数の漁場であるため流速計を長期間海中に設置できないことも,対馬海峡の海流の研究を遅らせている一因である。本研究では,日韓両国の共同研究により,両国の最新の海流計測器を動員して,対馬海峡における海流の構造や流量を韓国領海内を含めて総合的に解明することを目的としている。 2.観測方法 (1)曳航式ADCP:対馬海峡では,活発な漁業活動が絶ず行われているため,海中に多数の係留式流連計を長期間設置することは困難である。このため,観測船で曳航することにより,対馬海峡全域の海流の断面構造を単時間に音響リモ-トセンシングできる曳航式ADCPが非常に有動な計測手段となる。しかしながら,対馬海峡には,一方向流である海流と振動的な潮流が共存するため,両者の混在する計測デ-タから海流成分を取り出すことが重要な課題となる。本研究では,海流を同一測線上で繰り返し計測することにより潮流成分を除去することを試みた。海上計測は,九州大学応用力学研究所の所有する曳航式ADCPを,釜山水産大学練習船,長崎海洋気象台観測船,福岡県・山口県両水産試験場調査船に積み込むことによりなされた。(2)係留式流連計:漁業活動のあまり行われていない海域と時期を慎重に選び,係留式流速計を対馬海峡東水道の中央部に設置した。このような観測では,対馬海峡全域にわたる海流デ-タを得ることは困難であるけれども,海流の時間変動特性に関する貴重なデ-タを得ることができるものと期待できる。(3)海底ケ-ブル:浜田一釜山間には,日本電信電話公社の海底ケ-ブルが敷設されている。海流が海底ケ-ブルを横切る時,地球磁場の作用で海底ケ-ブルの両端に電位差が発生することになる(ファラディ-の電磁誘導の法則)。このため,浜田一釜山間の海底ケ-ブルの電位差の変動を計測できれば,対馬暖流の変動特性を知ることができるし,他の測流デ-タと比較できれば,対馬海流の流量と関連づけることも可能である。 3.主要な結果 (1)9月時期における対馬海流の流量は,西水道で1.7SV(1SV=1×10^6m^3/S),東水道で0.6SVであった。これまで,対馬海峡における海流の流量は,両水道とも約1.7SVと言われていたが,本研究の結果,西水道の流量が東水道のそれに比べて三信程度大きいことが見い出された。(2)西水道の対馬トラフ周辺の底層水は,日本海団有水域はその混合水塊の侵入のため対馬海流に対して反流を形成している。(3)同一測線上の繰り返しデ-タを使用して,観測海域の調和定数の場所的変化を最小二乗法で決定できることがわかった。この結果,計測デ-タから潮流成分を分離して海流成分を取り出すことができるようになった。(4)係留観測の結果,対馬東水道には,対馬海流・半日周潮流・日周潮流が同程度の強さで存在することがわかった。(5)浜田一釜山間の海底ケ-ブルの電位差の変動が,対馬海流と潮流の変動に良く対応していることが見い出された。 4.総括と展望 対馬海流は,日韓両国にとって気象・漁業の両面で重要な海流であるため共同研究を一層発展させることが望まれる。対馬海流の変動を長期間計測し,その変動を予報できるデ-タを蓄積することが最重要課題であるが,このためには,漁業活動によって中断されない海流計測システムを開発する必要がある。対馬海峡の日本海側出口で,海洋音響チャンネルを利用して海流を長期間計測するシステムの開発にすでに着手している。 続きを見る
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