高血圧発症要因としての食生活の役割に関するネパール住民を対象とした比較疫学的研究

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高血圧発症要因としての食生活の役割に関するネパール住民を対象とした比較疫学的研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
責任表示:
緒方 道彦(九州大学・健康科学センター・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1987
概要(最新報告):
わが国では加齢とともに血圧が上昇し, 50才を超える人びとの30%以上が高血圧と判定される. 今後, 高齢者人口の増加とともに, 成人病の重要な危険因子のひとつである高血圧症とそれによる合併症の頻度はますます増大すると予想され, 将来の医療の重要な課題となるであろう. 健康科学センターの研究者は, かねてからネパール王国の住民のなかには, 加齢とともに血圧が上昇せず, 高血圧, 心血管系障害がほとんど認められない集団があることに気付いていた. 本研究の目的は, 以上のような認識にたって, 医学, 栄養学, 運動生理学, 人類学の専門家からなるチームを編成し, ネパール国内において, 同国研究者と共同して, 従来よりも精度の高い, 総合的な疫学調査を実施し, 高血圧の発症要因, 特に食生活の役割を明らかにしようとしたものである. 1, 加齢とともに血圧が上昇するという現象が, 都市化の進行に伴うものであることを確認することができた. 本年度の調査地域はネパール王国の首都カトマンズから東50kmの山村コテンと首都北方5kmの都市近郊農村バドラカリである. 約1200名を対象とする医学調査の結果, 高血圧症の発症頻度が山村住民では0.7%であるのに, 都市近郊住民では6.0%で, 日本人の発症頻度(15〜25%)より低いこと並びに生活形態の近代化に反比例している事実が確認された. 特に山村住民には加齢に伴う血圧の上昇は認められない. しかしながら農村住民では日本人よりは低いもののやはり上昇傾向が認められた. 2, 食塩摂取量が第一義的な要因ではない. 現在高血圧症と食塩量の相関が注目されているが, 医学調査(血液生化学分析, 分割尿法)並びに栄養学調査(食事量実測, 食事サンプル分析)による結果では, 食塩摂取量は両村住民間のみならず日本人に対しても有意な差は無いことが解った. 3, 日常的な身体活動量の意義. 高血圧発症要因について今回の調査では総合的かつ多角的な資料を収集することが出来た. それらにつき検討を進めているが, 形態学的にみると山村住民の平均身長・体重は農村とほぼ等しいのに, 体脂肪量は少なく筋肉質である. 食事や栄養素摂取状況などよりも顕著な相違点は体力水準であり, 山村の生活形態に応じた高い酸素摂取能力が確認された. また都市近郊農村の住民の体脂肪量や体力水準は, 平均的な日本人と山村住民の中間の傾向を示している. 今回の成果は, 成人病について食事の意味も重要であるが, 日常生活における身体活動が必要であることを強く示唆するものである. 山村住民の実態を参照し日常的な身体活動の所要量の推測も可能であろう. この様な点に注目しつつ資料の検討を行う予定である. 4, ネパール側との協力態勢が確立され, 今後の共同プロジェクトの展望が得られた. 今回の調査はネパールのトリブバン大学医学部の全面的な協力があり, スタッフの努力により不可能とみられていた一般健常者から900例の血液サンプル(10ml単位)が得られた. この資料からネパール固有の血液生化学診断基準が策定される. その他の資料についても併せて解析を進め, 調査を総括した上で, ネパール国内の他の地域を選び総合的な疫学的調査を行う計画である. 続きを見る
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