高血圧発症要因としての食生活の役割に関するネパール住民を対象とした比較疫学的研究

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高血圧発症要因としての食生活の役割に関するネパール住民を対象とした比較疫学的研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Japan-Nepal Health Scientific Expedition -Comparative Epidemiological Studies on the Genesis of Hypertension-
責任表示:
緒方 道彦(九州大学・健康科学センター・教授)
Michihiko OGATA(九州大学・健康科学センター・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1987-1988
概要(最新報告):
昭和63年度(調査総括)の目的は、(1)62年度の海外学術研究で得られた調査研究資料を整理、(2)凍結保存されている血液サンプルの分析、(3)ネパールの共同研究者を招へいし、報告書の作成のための情報交換を、(4)調査研究の報告書を作成、などであった。 これらの目的のすべてが、調査研究報告書「ネパールにおける高血圧発症要因の比較疫学的研究」を刊行することで達成されたといえる。この報告書は、6章25項からなり、総頁は244頁にも及んでいる。詳細はその報告書に譲るが、概要は以下のとおりである。 (1)対象者は、ネパールの代表的な山村Kotyang(K村)とKathmanduの近郊農村Bhadrakali(B村)の住民で、総勢1,765名であった。 (2)加齢に伴う血圧の上昇がK村男性では全く認められず、同女性ではわずかに上昇した。B村では男女とも上昇したが、日本人のそれに比べればわずかであった。 (3)高血圧の発生頻度(20歳以上)は、K村が0.7%、B村が7.3%でしかなかった(日本は約25%である)。 (4)一日尿中NaおよびK排泄量推定値はK村とB村で差がなく、また日本人の排泄量とも差が認められなかった。このことは栄養調査に基づくNa、K摂取量および血中アルドステロン濃度からも裏付けられ、K村、B村住民と日本人の食塩摂取量には差がないと言えた。 (5)血液生化学成績の中で総コレステロールと中性脂肪は、K村で著しい低値を示し、日本人の正常値を適用すると各々約42%、29%が異常低値に分類された。B村ではK村より高値を示したものの、やはり約28%、20%が異常低値を示した。 (6)体脂肪率は、K村が最も少なく、次いでB村、日本の順であった。またK村では肥満者が全く認められず、B村では2.6〜18.4%認められ、日本人(3.1〜34.5%)よりやや少なかった。 (7)栄養調査の結果、一日摂取エネルギー量は体重kg当りK村が男性54.6、女性53.6kcal、B村が男性42.7、女性44.2kcalであった。エネルギー摂取量は日本人(35.0kcal)より大きかった。 (8)穀類エネルギー比はK村80.3%、B村76.4%で、両村とも日本人(47.0%)より著しく高い。蛋白質摂取量は体重当りK村1.46g、B村1.08gであった。両村とも動物性食品の摂取量が少なく、動物性蛋白比はK村11.4%、B村9.7%で、日本の49.6%に比べ著しく低値であった。 (9)24時間の心電図記録から身体活動量を推定すると、K村はB村より多かった。しかしB村と言えども日本や欧米人の身体活動量よりは多いと言えた。このことは、体力測定の結果に反映された。すなわち、最大酸素摂取量はK村がB村より高く、B村は日本や欧米人よりも高かった。 (10)このようなことなどから、ネパール人に高血圧が極端に少ないことや、加齢による血圧の上昇が認められないこと、あるいはその上昇がごくわずかであることなどは、日本で重視される食塩摂取量では説明できない。それ故、高血圧発症要因として、食生活や日常生活における身体活動量などの生活因子の役割が極めて重要であることが伺えた。 (11)また研究課題とは直接関係ないが調査研究報告書では、心電図所見のうち心筋虚血を表すST低下およびT波異常はK村が2.4%、B村が3.4%で日本人のいずれの集団より著しく低値であること、末梢血の好酸球数が両村とも異常に多く、住民の56〜63%に好酸球増多症(6%以上)が認められ、その原因は寄生虫病、原虫病さらにフィラリア病によると思われること、などネパールの医療事情などにも言及した。その他に尿検査、血液型および血液生化学調査、A型・B型肝炎り患率調査、DNA多型による人類学的位置づけ、歯科学的調査、人類学的調査、地理学的調査などの研究成果も報告した。 続きを見る
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