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概要 |
道路交通騒音を制御することにおいて、現在最もよく用いられている手段の一つが防音壁である。しかし近年になって、交通量が増えつつ、しかもスピードの上限をアップした高速道路の建設や新幹線のような高速鉄道もさらにそのスピードを増やしている。このような状況の中、従来の防音壁では十分な遮音がとれなくなった場合が多くなり、建物の高層化などの原因で都市内を走る高速道路や鉄道沿いの防音壁もその高さが伸びる一方である...。しかし、遮音量を増やす目的で、音源側の防音壁の上部の形状が道路内の方へ曲がり込み、道路を囲んでいる形になってしまって、まるでトンネルのような防音壁もできる状況になった。防音壁の高さが高くなるほど遮音量は増えるものの、建設における経済的な費用や構造上の強度、維持・管理におけるコストなどの問題だけでなく、防音壁沿いの住民への日照の欠如、運転者や乗客に与える圧迫感や退屈さ、さらに道路内部の換気を悪化させるなど、人間に直接与える被害が社会的問題にまでなっている。このような理由で、最近では防音壁の高さを変えず、より良い遮音性能を持つ防音壁を開発しようとする企画で様々な研究が盛んに行われている。本研究は、このような背景により防音壁の高さを変えず、より良い遮音性能を持つ防音壁を開発することを目的とする。 防音壁の遮音効果を向上させるための様々な形の防音壁が試されている中、T型防音壁は単純な形である割には良い遮音効果を示していることがよく知られている。そこで本研究では、藤原らによって提案された1/4波長音響管配列によるソフトな表面をT型防音壁の上端において実現し、上端がソフトな表面となるT型防音壁を提案、その遮音効果について数値計算及び模型実験によって検討を行った。 研究内容としては、まず、(1)単一深さの音響管配列の単体としての効果を検討するため、境界要素法を用いて数値解析を行い、理想的にソフトな表面の効果と比較し、藤原らによって提案された音響管配列によるソフトな表面の効果を検証した。本研究における数値解析の手段として用いた境界要素法は、防音壁が設置された散乱音場のような、開領域を含む開放音場問題を計算的方法で解析するに適した方法としてよく知られている。特に、防音壁の形状が複雑になればなるほどその効果を解析的な方法で求めることは不可能に近くなると言える。こういう面で境界要素法は優れた長所を持っている。特に、地面条件を完全反射性と仮定し、鏡像法を用いて音場をモデリングすると相当の計算容量を節約することができ、本研究全般における数値解析は鏡像法の2次元境界要素法を用いた。次に、(2)音管配列をT型防音壁の上端に設け、防音壁としての遮音効果について数値解析及び模型実験により検討を行い、その特性を調べた、その後、(3)音響管配列による効果の周波数依存性を解決するため配列の形を変形し、変形された配列の単体としての効果を数値解析及び模型実験で検討した。最後に、(4)変形された音響管配列を防音壁に取り付け、ソフトな効果は多少減少するが、効果の周波数依存性を大幅に改善した。音響管配列によるソフトなT型防音壁の遮音効果を数値解析及び模型実験によって確認した。 以上の結果により、剛なT型防音壁の上端に音響管を配列することによって、T型防音壁の遮音効果をほぼ全周波数領域で大幅に改善された。続きを見る
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目次 |
目次 第1章 序論 第2章 境界要素解析 第3章 音響管配列によって実現されたソフトな表面 第4章 ソフトなT型防音壁の試み 第5章 有効帯域を広げるために音響管配列 第6章 長さの異なる音響管配列を持つT型防音壁 第7章 総括 参考文献 謝辞 付録
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