<博士論文>
未分化なヒト歯根膜細胞株の分化に及ぼすカルシウムの影響

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概要 セメント質ならびに骨基質においてカルシウムは主要な構成成分であるが、一方で細胞外カルシウムは骨芽細胞に直接作用することによって、石灰化を増進させる働きがあることが報告されている。我々は近年、カルシウムによって刺激されたヒト歯根膜細胞が、セメント質/骨関連遺伝子の発現を促進することを報告した。しかしながら、カルシウムが未分化な歯根膜細胞の分化に及ぼす影響については不明であることから、本研究では、近年...我々が報告した2種の分化段階の異なるヒト歯根膜前駆細胞株(1-11細胞株および1-17細胞株)を用いて、未分化な歯根膜細胞に与える増殖能、分化能および石灰化能に与える影響について検討した。CaCl_2含有培地にて刺激を行った結果、両細胞株の細胞増殖は有意に促進された。さらにセメント質/骨関連遺伝子の発現が有意に上昇し、両細胞株でともに石灰化反応が認められた。またカルシウム含有の生体材料であるハイドロキシアパタイト(HAp)に両細胞株を付着させラット脛骨に移植を行った結果、HAp表面に両細胞株による石灰化物の形成が認められた。以上より、ヒト歯根膜細胞株はカルシウムによって細胞増殖および石灰化が促進されることが示された。次に、カルシウム感知受容体(CaSR)が両細胞株の石灰化に与える影響について検討した。カルシウム刺激を行った両細胞株において、CaSR遺伝子の有意な発現の上昇を認め、ラットの歯根膜における抗CaSR抗体による免疫組織化学的染色の結果、歯槽骨側において顕著に局在を認めた。また、CaSRの拮抗薬であるNPS2143を用いてカルシウム刺激を行った結果、カルシウム単独刺激群と比較して石灰化が増大し、セメント質/骨関連遺伝子発現が有意に増加した。一方、L型電位依存性Ca^<2+>チャネル(L-VDCC)の阻害薬であるニフェジピンを用いて実験を行った結果、両細胞株におけるCaSR遺伝子の発現上昇を認め、カルシウム刺激群と比較して明らかな石灰化の抑制を認めた。以上より、細胞外カルシウム刺激を受けた未分化なヒト歯根膜細胞株において、L-VDCCは石灰化を促進し、一方でCaSRは抑制的に働いていることが明らかになり、さらにL-VDCCはCaSRの発現に対して抑制的に働いていることが示された。これらの結果より、カルシウム刺激による未分化なヒト歯根膜細胞の石灰化はCaSRおよびL-VDCCを介して調節されている可能性が示唆された。続きを見る
目次 1 要旨 2 諸言 3 材料と方法 4 結果 5 考察 6 総括 7 謝辞 8 参考文献

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登録日 2013.07.05
更新日 2023.11.21