<学術雑誌論文>
骨軟部腫瘍の悪性転化とその分子メカニズム

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概要 一般的に上皮性悪性腫瘍(癌腫)においては良性腫瘍あるいは低悪性度腫瘍からの高悪性度腫瘍への悪性転化は大腸腺腫から大腸癌へのadenoma-carcinoma sequence や高分化肝細胞癌から中分化あるいは低分化肝細胞癌へのnodule in nodule現象などが有名であるが, 骨軟部腫瘍における同様の現象はあまり知られていない. 肉腫においてはM脱分化Oという用語が悪性転化の意味に用いられ...るものがある. 脱分化現象とは, 本来の低悪性度で分化した組織像の特徴を失い, 未分化高悪性度の組織像を呈する現象を示す. 未分化高悪性度の成分を脱分化成分と呼ぶ. 肉腫において, 脱分化成分の形態としては未分化多形性肉腫(従来の多形型悪性線維性組織球腫)が最も多く, 高悪性度の紡錘形細胞よりなる線維肉腫や骨肉腫の像も多い. 脱分化成分の出現パターンとしては同一腫瘍内に分化した成分と脱分化成分が境界明瞭に共存するものか, 再発巣あるいは転移巣で脱分化成分が出現するものとがある. 脱分化肉腫の最初の報告は低悪性度軟骨肉腫に高悪性度未分化多形性肉腫成分が共存する脱分化型軟骨肉腫おいてなされ, 次いで低悪性度で治療に際して化学療法の必要のない骨内分化型骨肉腫が, 再発巣あるいは転移巣で高悪性度の骨肉腫に悪性転化する現象が報告された. その後骨腫瘍においては傍骨性骨肉腫, 脊索腫, 骨巨細胞腫の脱分化現象についても報告がなされた. 軟部腫瘍においては高分化型脂肪肉腫の脱分化が最初に報告された. その後, 脱分化現象については拡大解釈がなされ分化型平滑筋肉腫に未分化多形性肉腫成分を伴った現象も脱分化と呼ぶこともあるが, 平滑筋肉腫自体が元来高悪性度肉腫であるので筆者はこの考えに反対である. 近年では癌腫においても肝細胞癌の悪性化進展や, 唾液腺腫瘍の一部にも脱分化という用語が用いられている. 本稿では骨軟部腫瘍における悪性転化を示す代表的なものとして, 悪性骨巨細胞腫, 脱分化型軟骨肉腫, 脱分化型脂肪肉腫, 粘液・円形細胞型脂肪肉腫, 隆起性皮膚線維肉腫および子宮内膜間質肉腫を取り上げ, それらの臨床病理学的な解説と悪性化転化における分子病理学的なメカニズムについて, 我々の研究を含めた最新の知見について解説する.続きを見る

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登録日 2012.06.04
更新日 2021.07.28

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