作成者 |
|
論文調査委員 |
|
|
本文言語 |
|
学位授与年度 |
|
学位授与大学 |
|
|
学位 |
|
学位種別 |
|
出版タイプ |
|
アクセス権 |
|
JaLC DOI |
|
概要 |
うま味は、グルタミン酸Na(mono sodium glutamate: MSG)などが受容体を刺激することにより起こる基本味のひとつである。受容体候補として、現在までにG-タンパク質結合型のT1r1/T1r3、mGluRs(taste-mGluR4、brain-mGluR4、 taste-mGluR1、brain-mGluR1)などが提唱されているがその機能はまだ明確ではない。T1r3-KOマウ...スを用いた研究では、うま味応答は消失するという報告と、低下するが消失はしないという報告に分かれており、前者はうま味受容体がT1r1/T1r3のみであると主張し、後者は複数のうま味受容体の存在を主張している。そこで、本研究では、まず、1)T1r3-KOマウスのうま味応答が残存するか、もし残存すればその応答がmGluRsに由来しているかどうかについて、条件付け味覚嫌悪学習による行動学的実験により調べた。さらに、2)ヒトにおけるT1Rsの関与について、うま味感受性とT1rsの遺伝子多型性との連関と、アミノ酸変異体の機能解析について、ヒト腎性胚細胞を用いたT1rs遺伝子導入味細胞再構築系を用い解析した。 その結果、1)T1r3-KOマウスもうま味物質に対する条件付け味覚嫌悪が獲得すること、また、うま味物質にmGluR1、mGluR4のアンタゴニストを混合させると嫌悪応答(リック数の低下)が減弱することが明らかとなり、T1r1/T1r3以外にmGluR1、mGluR4がうま味受容体として機能している可能性が示唆された。2)ヒトの実験では、T1r1では、39.2%のアレル頻度で起こるアミノ酸変異(T1r1-Thr372Ala)が、T1r3では9.0%の頻度のアミノ酸変異(T1r3-Arg757Cys)がヒトうま味感受性に影響する可能性が示唆された。またその機能解析の結果から、T1r1-372Thr変異体は-372Alaより感受性の高いうま味受容体を形成すること、T1r3-757Cys変異体は-757Argより感受性の低い受容体を形成することが明らかとなり、ヒトT1r1/T1r3はうま味受容体として機能し、そのアミノ酸変異はうま味感受性に影響することが示唆された。続きを見る
|