<Doctoral Thesis>
Association of cytokeratin 17 expression with differentiation in oral squamous cell carcinoma

Creator
Examiner
Language
Academic Year Conferred
Conferring University
Degree
Degree Type
Publication Type
Access Rights
JaLC DOI
Abstract 口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma:OSCC)は診断の遅れや、放射線療法および化学療法に抵抗性を持つOSCC細胞の存在により予後不良となることが多い。よって、OSCCを早期診断し、組織学的特徴を把握するために、より精度の高い診断方法を確立することが重要である。以前よりサイトケラチン(cytokeratin:CK)は固形癌の診断のためにその有用性が検討されている...が、特にCK17は子宮頸部や喉頭の扁平上皮癌において過剰に発現していることが報告されている。そこで本研究は、OSCCにおいてCK17を含む7種類のCKの発現様式を解析した。また、OSCCの分化に着目し、白板症や正常口腔粘膜上皮(normal oral epithelium:NOE)における発現について検討した。Ⅰ.OSCCや白板症、NOEにおけるCK17の発現 病理組織学的にOSCCと診断された105例の生検組織材料を用い、7種類の抗CK抗体(抗CK13抗体、抗CK14抗体、抗CK16抗体、抗CK17抗体、抗CK18抗体、抗CK19抗体、抗CK20抗体)を用いて免疫組織化学的染色を行った。また、臨床的に白板症と診断された108例の生検材料を用い、抗CK17抗体と抗CK13抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。対照群としてNOE10例を用いた。OSCCにおける7種類のCKの発現頻度はCK13が3/105例(2.9%)、CK14が102/105例(97.1%)、CK16が60/105例(57.1%)、CK17が101/105例(96.2%)、CK18が21/105例(20.0%)、CK19が39/105例(37.1%)、CK20が22/105例(21.0%)であった。NOEにおける発現頻度はCK13が10/10例(100%)、CK14が10/105例(100%)、CK16が4/10例(40.0%)、CK17が0/10例(0%)、CK18が2/10例(20.0%)、CK19が4/10例(40.0%)、CK20が0/10例(0%)であった。CK17のみNOEにおいて発現を認めず、OSCCにおいて高発現した(p<0.01)。臨床病理学的所見と比較すると、低分化型よりも高分化型OSCCにおいて有意にCK17の発現を認めた(p<0.01)。また、CK17の発現頻度とその他の臨床病理学的所見との間に関連は認めなかった。白板症全体では55/108例(50.9%)においてCK17の発現を認めた。上皮性過形成を伴う(hyperplasia)症例では36/74例(48.6%)において発現を認めたのに対し、上皮性異形成を伴う(dysplasia)症例では19/34例(55.9%)において有意に発現頻度が高かった(p<0.01)。OSCCではほとんど発現がみられなかったCK13は、白板症全体では63/108例(58.3%)において発現を認めた。hyperplasia症例では52/74例(70.3%)において発現を認めたのに対し、dysplasia症例では11/34例(32.4%)において有意に発現頻度が低かった(p<0.01)。Ⅱ.OSCCの分化によるCK17の発現様式 CK17の発現とOSCC細胞の分化との関連を検索するため、上皮幹細胞のマーカーであり、低分化OSCC細胞との関連が示唆されるΔNp63を用いて免疫組織化学染色を行った。また、高分化型OSCC由来のHSC-2、低分化型OSCC由来のHSC-3およびSAS、OSCC再発症例由来のSQUU-A、同じく再発症例で高転移能を有するSQUU-Bといった5種類の細胞株におけるCK17 mRNA発現量をreal-time reverse transcriptase polymerase chain reaction(RT PCR)法にて解析し、OSCC細胞の分化の違いによるCK17 mRNAの発現の差異を検索した。ΔNp63の発現頻度は102/105例(97.1%)であり、核に特異的に発現していた。ΔNp63は上皮基底層や癌胞巣の最外層に発現し、癌胞巣の内側に発現するCK17とは相対する発現を認めた。ΔNp63の発現様式とOSCCの臨床病理学的所見との間に有意な発現はみられなかった。HSC-2におけるCK17 mRNA発現量は、HSC-3およびSASと比較して有意に多かった(p<0.01)。また、SQUU-BよりSQUU-Aにおいて発現量が有意に多かった(p<0.01)。以上から、CK17は高分化なOSCC細胞に発現することが示唆された。CK17は正常上皮と比較して異型上皮やOSCCにおいて発現頻度が上昇し、OSCCでは臨床病理学的に分化との関連が認められた。さらに、CK17は高分化OSCC細胞株に高発現していた。以上から、CK17は悪性度の低い高分化型OSCCのマーカーであると考えられた。show more
Table of Contents 要旨 緒言 材料および方法 結果 考察 謝辞 参考文献

Hide fulltext details.

pdf dent557_1 pdf 2.73 MB 3,188  
pdf dent557_2 pdf 8.74 MB 1,018  

Details

Record ID
Peer-Reviewed
Report Number
Number of Diploma
Granted Date
Date Accepted
Faculty
Notes
Created Date 2013.07.10
Modified Date 2023.11.21

People who viewed this item also viewed